マネージャーブログ

Oct 04, 2008

エコノミー社会とエコロジー社会...

エイモリー・B・ロビンスの『ソフト・エネルギー・パス』を槌屋治紀氏とともに翻訳した室田泰弘氏の著書「日本ソフト・パス」(1981年、東洋経済新報社)から、ロバート・クラークの対照表です。

エコノミー派の社会エコロジー派の社会
生態学的に不健全生態学的に健全
大量のエネルギー投入少量のエネルギー投入
高い汚染率低いまたは皆無の汚染率
物質とエネルギーの復元不可能な利用復元可能な物質とエネルギー源のみ
一定期間のみ機能可能永遠に機能可能
大量生産手工業型産業
高度の専門化低度の専門家
核家族共同体単位
都市に重点村落に重点
自然から疎外自然との一体感
「合意」による政治(権力者の打ち出す政策に一般大衆が合意する)民主的政治
世界的貿易地域的物々交換
資力によって規定される技術の限界自然によって規定される技術の限界
地方文化の破壊地方文化との共存
乱されやすい技術乱用を防止
他の種に対して極めて破壊的他の種の繁栄に依存
利潤と戦争によって決まる革新必要によって決まる革新
成長志向型経済定常経済
資本集約的労働集約的
若者と年寄りの間を疎遠にする若者と年寄りを結びつける
中央集権的分権的
全般的な効率は規模と共に増大する全般的な効率は規模が小さくなるに従い増大する
一般の人が理解するには複雑すぎる運転方式誰にでもわかる運転方式
技術の事故は頻繁かつ深刻技術の事故はほとんどなく、あってもささいなもの
技術的、社会的問題に対する単一の解決方法技術的、社会的問題に対する多様な解決方法
単一栽培に重点を置いた農業多様性に重点を置いた農業
量的規準を重視質的規準を重視
食料生産専門の産業すべての人が行う食料生産
主として収入のために行う仕事主として満足を得るために行う仕事
小単位は他のものに全面的に依存小単位が自給自足
文化から疎外された科学と技術文化と統合された科学と技術
専門家、エリートによって行われる科学と技術すべての人が行う科学と技術
仕事と余暇の厳密な区分仕事と余暇の区別はゆるやかまたは皆無(概念そのものが無効)
地球上の少数のものにとっての限られた時間だけの有効な技術目標「すべてのものにとって永遠」に有効な技術目標


May 14, 2008

エココミュニティの要件(Draft ...

持続可能な地域における循環型社会の要件はどんなものかを考察するために、昨年の3月に次のような、たたき台の文案を作ってみました。
せっかくですので、掲示板でみなさんのご意見を募り、ブラッシュアップしていきたいと思います。よろしくお願いします。

エココミュニティの要件(Draft 1)  2007年3月2日

本文書は、エココミュニティの定義及びその要件を簡潔にまとめることによって、多くの人々に共有していただき、エココミュニティの構築及びその発展に寄与することを目的としている。
本文書の記述の背景や具体的なエココミュニティ構築のための方策、留意点等については、別に「エココミュニティの要件に関する解説文書」を用意する予定であるので、そちらを参照されたい。


定義: 「エココミュニティ」とは
エココミュニティとは、「自然生態系と調和して発展する将来世代にとっても維持更新が可能な地域社会(Eco-harmonic Renewable Community)」である。


想定するエココミュニティのレベル
エココミュニティはエコシステム(生態系)が微生物の世界からガイア(地球生態系)まで多様なレベルで存在するように、家族、小集団レベルから近隣レベル、地域レベル、国レベル、国際的な地域レベル、全地球レベルまで多様なレベルで構成されると考えられる。
本文書では、基礎自治体(市区町村)を中心に、一定の自治機能をもった市区町村内の地域地区から、広域市町村圏、都道府県程度の範囲のレベルでのエココミュニティを想定している。


エココミュニティの要件

1.自然生態系との調和
未来世代にとって最も貴重な資源である地域に残された原生的な自然生態系を保全し、かつ自然の力によるその再生を促進していること。また、その保全、再生を阻害しないかたちでの社会経済の仕組みや生活様式の選択と創造が志向されていること。
自然生態系とともに、これと長年調和して営まれてきた伝統的な生業及び有形・無形の文化財、生活様式、そしてそれらの総体としての景観について優先的に保全されていること。

2.環境収容力内での開発
地域の居住人口、交流人口、居住、産業、交通等にかかわる開発規模は地域の環境収容力の範囲内で計画され、調整されていること。

3.自然度を高める方向での土地利用
土地利用は大きく自然生態系保全地域、生産緑地(農山漁村)地域、都市(産業)地域の3つのゾーニングが考えられるが、それぞれの境界にバッファゾーンを設け、自然度の高い地域を侵食しないかたちで計画され、調整されること。逆に、都市(産業)地域においては、居住環境を阻害しないかたちで適度に自然生態系または生産緑地の要素が配置され、生産緑地(農山漁村)地域においては、農林漁業の生産性及び居住環境を著しく阻害しないかたちでの自然生態系要素の保全や再生が図られていること。

4.自然生態系と調和した持続可能な農林漁業
地域の生態系に直接働きかけ、その果実を得る農林漁業は、自然生態系に対して常に細心の配慮をし、それと調和していくことが必要である。また、それゆえに、人々が自然とともに生きることを学ぶ場としての価値も高い。
土壌及び水域をはじめとした地域の生態系の健全な維持更新を阻害しない範囲で、過剰なエネルギー、化学肥料・飼料、農薬(畜産、酪農、養殖におけるホルモン剤、抗生物質などの薬品を含む)を使用しない低投入型の農林漁業を推進すること。
持続可能な農林漁業を推進するため、従事者の教育・相互啓発とともに、体験等を通して農林漁業及び農林漁村の価値を地域内外の人々に理解してもらう試みを推進していること。

5.エコロジカルデザインに基づく建設
建設業は、地域の土地利用、産業・都市基盤、住環境、景観等を形成し、自然生態系に大きな影響を及ぼすため、建設業の従事者に対する自然生態系と調和するデザインについての教育、相互啓発を推進すること。そのプログラムでは、利便性、効率性と同等以上の比重で全体的・長期的な視点で環境、コミュニティ及び人々の心身の健康への配慮がなされ、さらに顧客や住民とのコミュニケーションが重視されていること。
建設資材は可能な限り地域圏内で産出された素材を用い、人口動態をはじめとした社会経済的環境変化に応じた長期間の維持・更新費用及び環境負荷の低減化と建設廃棄物の地域内での再利用・処理を考慮した設計がなされていること。

6.自律分散型エネルギーシステム
温室効果ガス及び放射性廃棄物を大量に排出する化石・原子力エネルギーの利用削減に努めていること。そのために、省エネルギー及び廃熱利用などエネルギーの有効利用に努めていること。また、地域に賦存する自然エネルギーの開発、利用を誘発する自律分散型のエネルギーシステムの構築を推進していること。

7.雨水、地下水、中下水を有効利用する「四次元の水循環」
水域自然生態系の保全・再生の観点から、大規模なダム建設、人工的な河川改修、護岸を抑制し、水源地域の森林等の自然環境保全及び河川、湖沼、海岸等の自然化を推進していること。
水道水については、二次元(平面上)のダム、河川等の表流水に過度に依存することなく、三次元(垂直軸上)ないし四次元(時間軸上)の水としての地下水、雨水、中下水を用途に応じて有効利用していること。
特に、飲用に適し、災害対策のための分散型水源として有効な地下水については、その適切な保全管理と有効利用を図っていること。そのため、地下水の涵養と地質汚染防止に努めていること。

8.ゼロエミッションをめざす循環型工業システム
工業においては、その原材料の採取・調達、製造・加工、流通・保存、消費・使用、廃棄・再利用・再生利用に至るまでのライフサイクルにわたる環境負荷の最小化と環境効率の最大化を図っていること。
地域に賦存する再生可能な自然エネルギーと原材料及び他の生産・消費プロセスから排出される物質、エネルギーの有効利用を推進していること。

9.地産地消、旬産旬消、フェアトレードを重視した流通、交易
物資の流通に要する距離、時間、環境負荷を最小化するため、地産地消、旬産旬消を優先する流通システムの構築を推進していること。
また、国内の他地域、あるいは海外地域との流通、交易については、対象となる商品等にかかわる原材料の採取・調達、製造・加工、流通・保存、消費・使用、廃棄・再利用・再生利用に至るプロセスにおける環境負荷及び当該地域の社会経済文化に与える影響が考慮され、当該地域の人々との共生的、互恵的、持続的な発展が可能なかたちで行われていること。

10.排出と焼却・処分を最小化する廃棄物処理システム
廃棄物については、その排出削減を優先し、再利用、再生利用を進めることによって、環境汚染物質の拡散につながる焼却、最終処分の最小化に努めていること。

11.低環境負荷型共用交通システムの活用
環境負荷の高い自動車交通の利用を削減するため、鉄道、バス等の公共交通機関の維持拡大と利用の促進を図ること。自動車利用については、レンタカーやカーシェアリング等の共同利用のシステムの普及が図られていること。
地域の道路整備については歩行環境が最も優先され、自転車利用の環境についても尊重されていること。交通渋滞について、交通情報システム、モーダルシフト、ロードプライシング、特定車両の通行区間規制などの交通需要マネジメントにより解消が図られていること。

12.環境モニタリング・評価とリスクマネジメント 
地域の大気、水、土壌・地質等の環境変化に関する測定が常時行われ、その情報が住民生活に及ぼす影響が理解可能なかたちで共有されるシステムの整備が図られていること。
地域環境に著しい影響をもたらす事業については、構想、基本計画、実施計画の各段階でその環境、社会、経済にわたる影響について多様な利害関係者に開示し、多面的な評価を行った上で、実施の可否の決定と計画の適正化を図ること。
さまざまな災害や犯罪、事故等によるリスクが削減されるよう、予防的にリスク情報の収集、評価、開示に基づく多様な利害関係者のリスクコミュニケーションがなされ、合理的なリスクマネジメントが推進されること。

13.エコマネーとエコ金融の創造 
地域における税、補助金、課徴金、ファンド、地域通貨などの仕組みが環境保全や環境負荷の削減への取り組みを誘発するかたちで活用されていること。また、金融においても環境保全や環境負荷の削減への取り組みが投融資判断の要素として重視されていること。

14.地域の自然生態系と文化の価値を共有し、高める教育・コミュニケーション活動
地域の自然生態系と、これと長年調和して営まれてきた伝統的な生業及び有形・無形の文化財、生活様式、そしてそれらの総体としての景観などの価値を発見し、地域内で共有し後世に伝承していくための研究教育活動が行われていること。また、その価値を地域内外に周知し、保全活動水準と評価を高めていくためのコミュニケーション活動が組織的、計画的に行われていること。

15.環境保全を基盤とした多様な主体の参画・協働による行財政の効率的運営
地域の行財政運営にかかわる主体の政策的理念として、環境保全が基盤的に位置づけられていること。
地域の行財政施策に関する情報が十分に公開、提供され、その決定に関して多様な主体が関与できる機会が公平に与えられていること。
各種の計画策定や事業への参画については、域内や実績等による参画条件の限定を最小化し、地域を越えた多様な主体による協働の可能性を広げ、全体的、長期的な観点からみて効率的な行財政運営に努めていること。

Feb 18, 2008

ハーマン・デイリーの3原則

アメリカのエコロジー経済学者ハーマン・デイリーは、社会における資源利用と廃棄物の排出に関する3つの原則を提唱している。

1. 土壌、水、森林、魚など「再生可能な資源」の持続可能な利用速度は、再生速度を超えてはならない。
たとえば魚の場合、残りの魚が繁殖することで補充できる程度の速度で捕獲すれば持続可能である。

2. 化石燃料、良質鉱石、化石水など「再生不可能な資源」の持続可能な利用速度は、再生可能な資源を持続可能なペースで利用することで代用できる程度を超えてはならない。
石油を例にとると、埋蔵量を使い果した後も同等量の再生可能エネルギーが入手できるよう、石油使用による利益の一部を自動的に太陽熱収集器や植物に投資するのが、持続可能な利用の仕方となる。

3. 「汚染物質」の持続可能な排出速度は、環境がそうした物質を循環し、吸収し、無害化できる速度を超えるものであってはならない。
たとえば、下水を川や湖に流す場合には、水生生態系が栄養分を吸収できるペースでなければ持続可能とはいえない。

ドネラ・H・メドウズ、デニス・L・メドウズ、ヨルゲン・ランダース『限界を超えて』茅陽一監訳、松橋隆治、村井昌子訳、ダイヤモンド社、1992より

Feb 17, 2008

ナチュラル・ステップ4つのシス...

ナチュラル・ステップは、スウェーデンの小児癌の専門医であったカール・ヘンリク=ロベール博士の提唱によって1989年に発足し、カール16世グスタフ国王の後援のもとに財団法人によって運営され、世界的な広がりを見せている政治的・宗教的に中立な環境教育団体。
ロベール博士が、自然環境と人間社会が全体として「持続可能なシステム」を成すための条件として、多数の科学者に呼びかけ、科学の視点からまとめ、提唱したのが、この「4つのシステム条件」。

1. 自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない
地下資源を地殻から掘り出し続けることは、短期的には可能であっても長期的には持続不可能な行為である。

2. 自然の中で人間社会の作り出した物質の濃度が増え続けない
社会での循環または自然の循環によって新しい資源として再生される速度内で生産・排出する。

3. 自然が物理的な手段で劣化され続けない
人為的な原因によって、土壌がアスファルト化、砂漠化、塩化されることや、不適切または過剰な農業・漁業によって生態系が継続的に破壊され続けてはならない。

4. 人々が自らの基本的ニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない
資源は効率的かつ公平に利用し、富める国と貧しい国の不公平な資源配分を避けるべきである。

この「4つのシステム条件」により到達すべき持続可能な将来像(ビジョン)を明確にし、そのビジョンを羅針盤として効率的な対策を立案し進めることができるとする。これが、「バックキャスティング」である。

Aug 08, 2007

この10年をどう予測するか

これは、2006年ノルド社会環境研究所が20周年を迎えるにあたって、2006年〜2015年の10年間の社会環境変化を概括的に予測したものです。

・気候変動等地球環境問題の深刻化への対応が迫られる10年
・化石燃料、ウランなどエネルギー資源の枯渇への対応が迫られる10年
・自然エネルギー、蓄電技術、燃料電池等の競争的発展・普及が進む10年
・中国の影響力の拡大による東アジア経済圏の変動に揺さぶられる10年
・世界的な資源獲得競争を背景に国際紛争の危機が叫ばれる10年
・保守タカ派主導による憲法改正論議(平和憲法の危機)の10年
・産業界が軍需産業化への誘惑とCSR(企業の社会的責任)とのジレンマに陥る10年
・少子・高齢化、人口減少が進む10年
・団塊の世代が年金生活を始める10年
・勝ち組・負け組格差の拡大による矛盾の止揚が求められる10年
・国及び自治体の再編と財政再建が迫られる10年
・小さな政府に対応したパブリックガバナンスが求められる10年

こうした予測をもとに、ノルド社会環境研究所は、エココミュニティ(Eco-harmonic Renewable Society:自然生態系と調和した将来世代にとっても維持更新が可能な社会)を将来像としたバックキャスティングのための「社会環境コミュニケーション」を事業の中心に据えました。
このSLOWSMALLサイトもその端緒的な試みです。
また、エココミュニティを実現するためには次の3つの条件が必要と考えています。
@将来世代にとっての資源の維持・増大
A環境負荷を低減する方向での経済発展
B社会経済的格差是正による人間性の発揮


Apr 02, 2007

戦略的環境アセスメント(SEA)

戦略的環境アセスメント(SEA: Strategic Environmental Assessment)とは、事業計画が固まった段階で行う現行の環境アセスメント(いわゆる「事業アセス」)より早期の、戦略的な段階で行う環境アセスメントことをいう。戦略的段階とは、一般的に「Policy(政策)>Plan(計画)>Program (プログラム)」の三つのPの段階を指すと説明されているが、抽象的な概念であり、具体的にはどの段階からが戦略的環境アセスメントと呼びうるか、厳密な定義は難しい。
わが国では、環境庁(現・環境省)が、2000年8月に戦略的環境アセスメント総合研究会報告書をまとめ、現在も導入に向けての検討が続けられている。 同報告書では、戦略的環境アセスメントの導入は、政策や上位の計画において既に事業の枠組みが決定されているために、環境アセスメントを事業の実施段階で行ったのでは、意思決定段階として遅すぎ、また、検討の幅が限られてしまうために環境の保全に有効な案の検討が行えない等の事業の実施段階の環境アセスメントの限界を補い計画に環境配慮を適切に組み込むものであり持続可能な社会の構築に資する。また、早期の段階で環境的側面について検討を適切に行うことにより、法に基づく環境影響評価の段階での事業内容の検討の手戻りを回避することにも資することとなるとしている。
2006年4月に閣議決定された第三次環境基本計画は、戦略的環境アセスメントについては、第二次計画を一歩進めて「共通的なガイドライン」の作成を図ることとしている。これを受けて現在、「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」が作成されつつある。
戦略的環境アセスメント総合研究会のこれまでの検討状況は下記URLを参照。
http://www.env.go.jp/policy/assess/2-4strategic/3sea-6/index.html

Feb 28, 2007

キーノート

「キーノート」は、エココミサイトにおいて対話や議論をする際に、参加者で参照し共有すべきキーとなる概念やデータなどの情報素材を提供するノートです。