マネージャーブログ

Sep 24, 2008

ソフト・エネルギー・パス

少し前の話になってしまうが、7月10日にシステム技術研究所所長の槌屋治紀氏の話を循環型社会研究会の「循環ワーカー養成講座」で伺った。
エイモリー・B・ロビンス著『ソフト・エネルギー・パス』(1979年、時事通信社)の翻訳者である槌屋氏が示す「2050年エネルギーシナリオ」では、2040年頃には原子力がなくなっている。聴講者の質問に応じて答えたその理由も明快である。
第一に、原子力発電の燃料であるウランが枯渇性の資源であること。第二に、核拡散につながること。第三に、放射性廃棄物の処理・処分が困難であること。そして第四に、とりかえしのつかない破局的事故の危険がつきまとうこと。

ロビンス夫妻は『ブリトルパワー 現代社会の脆弱性とエネルギー』(1987年、時事通信社)で、大規模に集中化したエネルギーシステムの脆弱性を多面的に指摘しているが、原子力発電と大規模電力系統システムは、その象徴でもある。石油やガスでも、タンカーやパイプラインでの爆発や事故、テロ行為などを考えると、現代社会は、まさにブリトル(brritle:もろい、壊れやすい、砕けやすい、移ろいやすい、傷つきやすい)なシステムの上に築かれた砂上の楼閣であることに気づかざるを得ない。

槌屋氏は、『ソフト・エネルギー・パス』の翻訳を出版した翌年に、『エネルギー耕作型文明 エネルギー自立のシナリオ』(1980年、東洋経済新報社)を著している。そこでは、集中型のエネルギー供給の体制が国民一人一人を完全にエネルギー消費者にしてしまったことが、エネルギーの利用目的と質との適合性への無関心を生んだと指摘し、これからのエネルギー政策に必要な6つの基本的条件を指摘している。
(1)必要なエネルギー量そのものを減少させること
(2)環境の破壊を最小限にするようなエネルギー供給システムを選択すること
(3)永続性のあるエネルギー供給システムを建設すること
(4)エネルギーの利用目的に適合した質のエネルギー源を使うこと
(5)小さな地域単位でエネルギーの自給を重視すべきこと
(6)エネルギーの生産に人々が参加できること
不安定で資源の偏在する化石燃料や核燃料に頼るエネルギー狩猟型文明から、安定的で地域において入手可能な太陽光や風力、バイオマス、水力、波力から農業に似た方法でエネルギーを得る耕作型文明への転換である。

ロビンスの「ソフト・エネルギー・パス」や槌屋氏の「エネルギー耕作型文明」の提案からすでに四半世紀が過ぎた。「2050年までに、効率の向上によりエネルギー需要を半減させ、その半分を再生可能エネルギーで供給すればCO2の排出量は4分の1になる」という槌屋氏の「2050年エネルギーシナリオ」は十分な実現可能性をもっていると思う。そうでなければ、日本における本当の意味での安心・安全な暮らしは実現しない。

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